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ペトラ・ノードカンプ / Petra Noordkamp
(アムステルダム、オランダ在住)
©Awoiska van der Molen, courtesy of the artist
ヘリット・リートフェルト・アカデミーで写真を学んだノードカンプの作品は、映像の領域までをしなやかに行き来して、建造物や都市環境についての認識に、人の経験や記憶、夢までもがどのように影響を及ぼしているのか探求している。これらの作品は、時に明快かつ空虚的でもあり、形式に美を見出しながら、孤独や孤立、メランコリックな感情を照らしている。
2012年、初めて制作した短編映画「The Mother, the Son and the Architect」がフォーム写真美術館(アムステルダム)で上映され、その後、国内外の映像祭や展覧会に招かれる。2013年、アメリカン・アカデミー(ローマ)のレジデンスプログラムに参加後、翌年にはソロモン・R・グッゲンハイム財団(ニューヨーク)より依頼を受け、イタリアの画家でもあり彫刻家、アルベルト・ブッリ(1915-1995)によって作られたCretto di Gibellina(同地を襲った大地震後の1968年、ブッリによって制作されたランドアート。一度は資金の枯渇によって制作が頓挫したが、2015年、ブッリ生誕100周年を記念して完成)をテーマにした短編映像「Il Grande Cretto di Gibellina」を発表。同作品は、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、K21(デュッセルドルフ)、MAXXI(ローマ)、ポンピドゥセンター(パリ)を巡回して上映した。2017年に発表した「When you return I'll be living by the waterside」は、ロッテルダム国際映画祭で2018年1月に初上映、ヴェネツィアで同年開催されたMove Cine ArteでBest Form賞を受賞している。近年に、MAXXIより依頼されたインスタレーション作品「Fragile-Handle with Care」がある。
AITのレジデンスプログラムでは、「沈黙」や「恐怖」などをテーマに瞑想的な場をリサーチすると同時に、恐怖の対象そのものや、その裏側に潜む自身(または私たち)の支配欲求と脆弱性にも着目する。
ウェブサイト
Il Grande Cretto di Gibellina
抜粋映像
When you return I'll be living by the waterside
トレイラー
滞在期間:2020年1月17日 - 4月12日
助成機関: Mondriaan Fonds
イベント:第12回恵比寿映像祭 YEBIZO MEETS 地域連携プログラム
AIT ARTIST TALK #78「建築の感情的経験」オランダよりアーティストのペトラ・ノードカンプを迎えて
日程:2020年2月19日(水)19:00 - 21:00(18:30 開場)
会場:代官山AITルーム
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シャルロット・マーカス / Charlott Markus
(スウェーデン生まれ、アムステルダム、オランダ在住)
©Marlise Steeman
シャルロット・マーカスは平面素材を用い、写真のシリーズ作品やサイトスペシフィックなインスタレーションを構成する。それは「静物画の延長」とも記述され、新たな語りを加えることで平面世界の可能性と限界を探るものである。写真や絵画、彫刻の境界線に余白を生み出すマーカスの創作は、それぞれが絡み合い、拡大しながら全体性が考察され、空間、色や形だけではなく、関係性や構造についても間接的に言及するものである。
ヘリット・リートフェルト・アカデミーにて写真を学び、卒業後はオランダ国内外で数々の展覧会に参加。これまでの個展に「Markus&I」(Weekender Trailer Show、Unseen Photo Fair、アムステルダム、2014)、「Live at: Matter of Gradation」(Intelligentsia Gallery, 北京、2015)、「Solitaire」(Probe Project Space、アムステルダム、2017)がある。グループ展には「Collective Thinking, For Freedoms」(Aperture Foundation、ニューヨーク、2017)、「Who are we again?」(Arti et Amicitiae, Amsterdam, 2018)などがある。
2019年1月からのレジデンス滞在では、日本の伝統やテキスタイルを中心に、現代の日常生活における歴史とシンボリズムについて、新たな視座を探求しリサーチを深める。
ウェブサイト
滞在期間:2018年1月9日 - 4月4日
助成機関: Mondriaan Fonds
イベント:AIT ARTIST TALK #75 「Indefinite ways of actual seeing − 視覚の曖昧な手段」
日程:2019年2月19日(火)19:00 - 21:00(18:30 開場)
会場:代官山AITルーム
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マリーナ・ヴィシック / Marina Višić
(1987年ルールモント生まれ、ティルブルフ・オランダ在住)
マリーナ・ヴィシックは、映像の領域にどのような質感や動きが取り込まれているのかをリサーチしながら創作活動を行っている。映像作品は身体的経験を再検討しながらも困惑と心酔の感覚を与えることから、イメージの規模や身体への関係性と同様、これらを演出することが重要と考えている。ヴィシックの作品は、物語を伴うよりも、常に動きを備えたモノとして提示される。制作の初期過程では変換が多用され、ヴァーチャルと現実世界を行き来させることで、ごく日常の事物が脚光を浴び、ヴァーチャルがカタチを露にするような世界へと変化させている。2016年、ロンドンのスレード・スクール・オブ・ファインアート校で行われた修了展において、ヴィシックの作品は想像豊かな色彩が高く評価され、ジャン・シェゴ賞を受賞している。
小説家の谷崎潤一郎による『陰翳礼讃』(英:In Praise of Shadows)や黒澤明の映画作品に見られる建築・地理的参照点に影響を受け、レジデンス・プログラムにて滞在中は、光や影、素材とその表情など日本の古典的美学についてリサーチを行う。
過去の個展に「SPHERE. (AFTER A PAUSE)」 (Kers Gallery、アムステルダム、2016)、「Myriade」 (Noordbrabants Museum、スヘルトーヘンボス、2013)がある。また「MEMEMEME」(The Crypt Gallery、ロンドン、2017)、「Infused Movement」(Kers Gallery、アムステルダム、2017)、「Summer Graduate Show」(Anise Gallery、ロンドン、2016)など数々のグループ展にも参加している。
アーティスト活動のみならず、オランダを拠点とするSEA財団でアシスタントキュレーターとして活動したほか、非営利団体のアーティスト・プロジェクトスペースやアーティスト・イン・レジデンス・プログラムなども携わった経験を持つ。現在は、インディペンデント・キュレーター、またプロジェクト・マネージャーとして展覧会やシンポジウムの企画に加え、出版物の制作にも取り組んでいる。
ウェブサイト
滞在期間:2018年1月10日 - 4月7日
助成機関: Mondriaan Fonds
トークイベント:AIT ARTIST TALK #73 「Low Relief / Unreal Estate」
〜オランダよりアーティストのマリーナ・ヴィシックとクセニア・ガレイヴァを迎えて〜
日程:2018年2月27日(火)19:00 - 21:00(18:30 開場)
会場:代官山AITルーム
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ローリー・ピルグリム / Rory Pilgrim
(1988年 イギリス・ブリストル生まれ)
イギリス出身のアーティスト、ローリー・ピルグリムは、「解放」を軸にした作品を制作し、アクテヴィズムやスピリチュアリティ、音楽、コミュニティなどの関係や時間の探求を通して、私的また政治的な問いを表現している。ピルグリムは、アクティヴィストやフェミニスト、またソーシャリー・エンゲージド・アートの起源に強く影響を受け、ライヴ・パフォーマンスや映像、テキスト、ワークショップ、音楽の作曲にいたるまで、幅広いメディアで作品を発表している。特に、人が集う手法として作曲を手掛け、音楽が苦境や祝祭の場面において、または人びとの意志を伝えるため、どのように扱われてきたのかを丁寧に調査している。
ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アーツにて芸術学を学んだのち、オランダのアムステルダムにあるde ateliersにてレジデンス・プログラムに参加。近年の個展に、"THE OPEN SKY" (Flat Time House, ロンドン/Site Gallery, シェフィールド, 2016)、"Violently Speaking" (Andriesse-Eyck Gallery, アムステルダム, 2015)がある。また、映像作品の上映に加え、アムステルダム市立美術館でのパフォーマンスや、2015年には広州トリエンナーレにも参加している。
AITのレジデンス・プログラムでは、"ERASURE"(消去・抹消)と題名付けられた新しい作品制作のためにリサーチを行う。これは、急速に進む環境破壊や、人間と非人間の種の融合、超近代性(ハイパー・モダニティー)と呼ばれる時代における機械などを参照し、行動・実践が行われる私たちの身体に着目している。日本におけるフェミニズム運動やアクテヴィズム、ソーシャリー・エンゲージド・アートに関する実践についてのリサーチや意見交換を通して、振付の方法論や音楽が、環境保護主義者らにどのような社会的、政治的解放の基礎を与えているかを探る。
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滞在期間:2017年1月11日 - 3月31日
助成機関: Mondriaan Fonds
トークイベント:AIT ARTIST TALK #70 「未来の身体を想像すること」
〜オランダよりアーティストのローリー・ピルグリムを招いて〜
日時:2017年3月17日(金)19:00〜21:00(18:30 開場)
会場:代官山AITルーム
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ローザ・ドールネンバル / Rosa Doornenbal
(1988年オランダ・アムステルダム生まれ、在住)
アムステルダム大学でカルチュラル・スタディーズを学んだのち(2012)、ヘリット・リートフェルト・アカデミーで美術学士号を取得(2013)。日常的なモノへの認識を変えるような形、文化、社会的要素に興味を持っている。アートの世界に当てはめてみると、彫刻作品を通して鑑賞者がどのような体験をするかということが表現の中心をなしている。ドールネンバルは、多様なメディアを用い、鑑賞者とモノ、道具、彫刻の相互作用を促す綿密な状況を作りあげ、時に、展示空間における定式化したふるまいを意識的に用いながら、批評的、かつ遊び心にあふれた状況を創出している。近年の作品では、創造そのもののプロセスに着目し、今日における職人性や作家性の意味について思索している。
これまでの展覧会として、'Wilful Blindness' (W139、アムステルダム、2015)、'ASPEN-KEMMER'(kim? Contemporary Art Centre、リガ、2014)がある。また、グループ展である'And then it just happened'(Inter Arts Centre、マルメ、2014)に参加。
ウェブサイト: www.rosadoornenbal.com
ブログ: 「wabi-bijin」
ドールネンバルと、アムステルダムで活動するグラフィック・デザイナー、ミズラーヴ・ズーガイが手掛けるブログ「wabi-bijin」。本ブログでは、ドールネンバルが、日本滞在中に入念なリサーチを行った2つの題材の側面を記している。ブログのページ片側は、日本の茶道と、仏教における美学・哲学・精神的観点との関わりについてのリサーチが示されている。もう片側は、ポップ・カルチャーやアニメに代表される、現代の美学的観点の反応と受け取ることができる。ブログの内容とデザインは、これらの観点を追求するにつれて流動的に変化する。
滞在期間:2016年1月13日 - 4月11日
助成機関: Mondriaan Fonds
展覧会:「非自己/Non-self」
オランダ出身のアーティスト ローザ・ドールネンバルによる展覧会
(2016年3月26日(土)〜31日(木)12:00〜19:00 / 会場:Higure 17-15 cas)
*オープニングレセプション:3月26日(土)18:00〜20:00 *19:00よりパフォーマンスレクチャーあり
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エロディー・ヒーリックスック / Elodie Hiryczuk (1977年 フランス生まれ、オランダ在住)
ヒーリックスックは、写真作品やインスタレーションを通して、私たちの世界の捉え方に影響を与える「写真」の役割について考察しているアーティスト。とりわけ、建築や自然の中で、人が視覚からどのように空間を体験するかに関心を抱いている。2001年よりアーティストのSjoerd van Oevelenとともに、Hiryczuk / Van Oevelen名義で共同制作を開始。
彼らの実践は、既存の空間表現に対して新たな見方やまなざしを提案する「実験」の連続といえる。
遠近法を用いたドローイングや、錯覚を利用した様々な画法を使い、固定化したものの見方に揺さぶりをかけるような作品を作り続けている。
アムステルダムのSandberg InstituteおよびGerrit Rietveld Academie of Arts & Designで学び、これまで、Museum de Paviljoens(アルメーレ、オランダ)、Contemporary Istanbul (イスタンブール、トルコ)、gallery Andriesse - Eyck(アムステルダム、オランダ)、Skaftfell Centre for Visual Arts/ Bokasafn(セイズィスフィエルジュル、アイスランド)等で展示を開催した。2005年に国際的なプロダクトデザイン賞である'レッド・ドット・デザイン賞' を受賞したほか、2007年には'13th Van Bommel Van Dam Prize' にもノミネートされた。オランダ、アムステルダムに制作の拠点を置いている。
www.hiryczukvanoevelen.com
www.thedetachedgaze.com
滞在期間:2015年1月19日-4月17日まで
助成機関: Mondriaan Fonds
イベント:第7回恵比寿映像祭地域連携プログラム
AIT ARTIST TALK#66 エロディー・ヒーリックスックを迎えて (日時:2015年3月2日(月) 19:00 - 21:00 会場: 代官山AITルーム)
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ヴィンセント・ヴルスマ(1982年、オランダ、ザーンダム生まれ)
ヴィンセント・ヴルスマ(1982年、オランダ、ザーンダム生まれ)
アムステルダムのへリットリートフェルトアカデミーで学んだ後、デ・アトリエに参加。芸術とそこに内在する社会政治学的な関係、また、文化的盗用による経済や歴史の成り立ち、製品と作品の関係性などについて言及している。ものの生産がデジタル化される現代において、さまざまな生産技術をリサーチし、対峙させることで、物質的/非物質的な労働における階層構造を問う作品を制作している。これまで、「A Sign of Autumn」アムステルダム市立美術館(オランダ/2011)、「ARS NOVA E5305-B」Galerie Cinzia Friedlaender(ベルリン/2009)などで個展を開催したほか、第6回ベルリンビエンナーレ(ドイツ/2010)、クンストハレ・デュッセルドルフ(ドイツ/2012)、アプタイベルク美術館(ドイツ/2013)、パリ市立近代美術館(フランス/2013)などの国際展やグループ展に参加している。
滞在期間:2014年1月9日-3月30日まで
助成機関:Mondriaan Fonds (オランダ)
イベント:
AIT ARTIST TALK #65「技術、労働、抽象」オランダ出身アーティスト ヴィンセント・ヴルスマを迎えて
(日時:2014年3月24日(月) 19:00-21:00 会場:代官山AITルーム)
メルヴィン・モティ/Melvin Moti (1977年ロッテルダム生まれ)
1977年オランダ、ロッテルダム生まれ。現在ロッテルダムおよびベルリンを拠点に活動を行う。ビジュアル・カルチャーとの関連における神経学的、科学的、歴史的プロセスを考察している。過去数年間にわたり、アーティストブック、オブジェ、ドローイングや、映像制作も手がける。最近では、スコットランド博物館(エディンバラ/2012)、Kunsthalle Lissabon(リスボン/2012)、ジャン大公近代美術館(MUDAM)(ルクセンブルク/2011)、ウィールズ現代美術センター(Wiels)(ブリュッセル/2010)、Fondazione Galleria Civica(トレント/2010)、Stedelijk Museum(アムステルダム/2007)、MMK(フランクフルト/2008)において個展が開催された。
滞在期間:2013年1月1日-4月13日まで
助成機関:Mondriaan Fonds
イベント:AIT ARTIST TALK #64