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展覧会「メルセデス・ベンツ アート・スコープ2018-2020」原美術館にて開催

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展覧会「メルセデス・ベンツ アート・スコープ2018-2020」
出品作家:久門剛史|ハリス・エパミノンダ|小泉明郎
2020年7月23日[木祝]- 9月6日[日] 原美術館[東京・品川]



<展覧会概要>
1991年から始まった「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」は、メルセデス・ベンツ日本による、日本とドイツの間で、現代美術の作家を相互に派遣・招聘し、異文化での生活体験、創作活動を通して交流を図る文化・芸術支援活動です。原美術館は、2003年よりパートナーをつとめ、滞在の成果を発表する展覧会を開催しています。AITは、本プログラムの企画協力及びレジデンス・プログラムの協力で関わっています。

本展は、日本からの派遣作家、久門剛史(ひさかどつよし/2018年ベルリンへ派遣)、ドイツからの招聘作家、ハリス・エパミノンダ(Haris Epaminonda/2019年東京へ招聘)、そして過去の「アート・スコープ」参加作家の中から招待出品作家として、小泉明郎(こいずみめいろう/2010年ベルリンへ派遣)の3名が出品します。3名共に、この困難な状況の下、熱意を持って新たなチャレンジをし、実現した展覧会となります。
いずれも、行動の変容を求められる中で、現在の状況に対峙するような新作を発表します。


<本展のみどころ>
久門剛史は、身の回りの現象や特定の場所がもつ記憶、歴史的事象を採取し、音や光、立体を用いてインスタレーションを作ることで知られています。昨年は、第58回ヴェネチア・ビエンナーレにて、アピチャッポン・ウィーラセタクンとの共作を出品、また初めて劇場作品『らせんの練習』を手がけるなど活動の場を広げています。さらに2020年3月より豊田市美術館にて国内初の大規模な個展「らせんの練習」が開催され、その活躍はますます注目を集めています。本展では、原美術館の展示室内の中でも、中庭を包みこむように緩やかな円弧を描いた空間が特徴的なギャラリーIIを使用し、久門が得意とする空間との対話から生み出される新作のインスタレーションを発表します。自然光のみで展示を行う本作は、展示空間を仄かな色に包み込み、鑑賞者を視覚や聴覚を研ぎ澄ますように誘います。

久門剛史 「風」 2017年
久門剛史 「風」 2017年 (参考図版)

ハリス・エパミノンダは、コラージュの技法を用いた映像やインスタレーションを制作しています。昨年開催された第58回ヴェネチア・ビエンナーレにおいて、企画参加アーティスト部門で銀獅子賞を受賞し、世界から注目を集めました。本展は、彼女にとって、2009年に森美術館で行われた「万華鏡の視覚」展以来、日本では約10年ぶりの展覧会であり、彼女の作品をご覧いただける貴重な機会となります。また、小津安二郎の映画をきっかけに、長年日本に強い関心を抱いてきたエパミノンダは、昨年の夏にレジデンス・プログラムで初めて東京と京都に滞在しました。本展では、当館とも関係の深い音楽家、吉村弘を題材に、アーティスト、ダニエル・グスタフ・クラマーとの共作《Untitled #01 b/l》、そして日本滞在時に、スーパー8フィルムで撮影した映像をデジタル化した《日本日記》を出品します。

ハリス・エパミノンダ 「VOL. XXVII」
ハリス・エパミノンダ 「VOL. XXVII」 2019年
Photo © Andrea Avezzù  Courtesy: La Biennale di Venezia 58th International Art Exhibition- La Biennale di Venezia, May You Live In Interesting Times (参考図版)


小泉明郎は、演劇的手法を取り入れた映像作品によって、人間と人間、人間と社会の関係、また言葉と身体の関係を浮かび上がらせる作品で知られています。近年はVR(ヴァーチャル・リアリティ)技術を使用した作品にも取り組み、昨年は「あいちトリエンナーレ2019」でVR技術を使った初の演劇作品『縛られたプロメテウス』を発表し、大きな反響を呼びました。本展では、二つの展示室内を行き来しながら音声を聞くサウンド・スカルプチャー《抗夢#1(彫刻のある部屋)》、各自のデバイスで音声をダウンロードして街中で聞く《抗夢#2(神殿にて)》を発表します。


小泉明郎 「嵐の後の新たなる息吹」 2018年 (参考図版)


<アーティストプロフィール>

久門 剛史(ひさかど・つよし)
1981年京都府生まれ、在住。2007年京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。近年の主な展覧会に「あいちトリエンナーレ2016」、「東アジア文化都市2017京都 アジア回廊現代美術展」(元離宮二条城)があるほか「MAMプロジェクト025」(森美術館、2018年)、第58回ヴェネチア・ビエンナーレ「May You Live in Interesting Time」(2019年)ではアピチャッポン・ウィーラセタクンとの共作を展示した。チェルフィッチュ『部屋に流れる時間の旅』(2016年)の舞台美術と音を担当、KYOTO EXPERIMENT京都国際舞台芸術祭にて初の劇場作品『らせんの練習』(ロームシアター京都、2019年)を上演。2020年3月より豊田市美術館にて国内初の大規模な個展「らせんの練習」を開催。


ハリス・エパミノンダ(Haris Epaminonda)
1980年キプロス、ニコシア生まれ、ベルリン在住。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートとキングストン大学(ロンドン)で学ぶ。第52回ヴェネチア・ビエンナーレキプロス代表(2007年)、「若手芸術家のための国立美術館賞」(ドイツ、2013年)ノミネート。第58回ヴェネチア・ビエンナーレ「May You Live in Interesting Times」企画参加アーティスト部門で銀獅子賞を受賞。その他にも「ベルリンビエンナーレ」(2008年)や「ドクメンタ14」(カッセル、2017年)など多数の国際展に出品。日本ではグループ展「万華鏡の視覚」(森美術館、東京、2009年)に出品。


小泉 明郎(こいずみ・めいろう)
1976 年群馬県生まれ、横浜市在住。国際基督教大学卒業後、チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(ロンドン)にて映像表現を学ぶ。主な個展に「MAM Project 009:小泉明郎」(森美術館、2009年)、「Projects 99: Meiro Koizumi」(ニューヨーク近代美術館、2013 年)、「捕われた声は静寂の夢を見る」(アーツ前橋、2015 年)、「バトルランズ」(ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ、2018年)など。主なグループ展に『「アート・スコープ2009-2011」―インヴィジブル・メモリーズ』(原美術館、2011年)、「フューチャー・ジェネレーション・アート・プライズ2012」(ピンチュク・アートセンター、キエフ、ウクライナ、2012年)、「境界:高山明+小泉明郎展」(銀座メゾンエルメス フォーラム、2015年)、「第12回上海ビエンナーレ」(2018年)、「シャルジャ・ビエンナーレ14」(アラブ首長国連邦、2019年)など。「あいちトリエンナーレ2019」にてVR技術を使用した演劇『縛られたプロメテウス』(2019年)を発表。

Hisakado Epaminonda Koizumi
左から、久門剛史、ハリス・エパミノンダ、小泉明郎



<開催要項>
展覧会名:「メルセデス・ベンツ アート・スコープ2018-2020」
会期:2020年6月21日[日]- 9月6日[日]
→2020年7月23日[木祝]- 9月6日[日] ※会期を変更いたしました
開館時間:平日11:00 - 16:00、土日祝11:00 - 17:00
会場:原美術館(東京都品川区北品川4-7-25)
主催:原美術館、メルセデス・ベンツ日本株式会社
後援:ドイツ連邦共和国大使館
協力:ホルベイン画材株式会社
企画協力/レジデンス・プログラム:NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]

入館は日時指定の予約制。詳細は原美術館公式ウェブサイトへ。※オンラインでの事前予約をお願いします
休館日:月曜日(8月10日を除く)、8月11日[火]
入館料:一般1,100円、大高生700円、小中生500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料
交通案内:JR「品川駅」高輪口より徒歩15分/タクシー5分/都営バス「反96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩3分/京急線「北品川駅」より徒歩8分
・新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、展覧会会期等を変更する可能性がございますので、 あらかじめご了承ください。


「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」について

このプログラムは1991年に「アート・スコープ」の名称で始まり、原美術館は2003年からパートナーとなりました。その後、2015年より名称を「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」と改めました。
プログラムの骨子は、現代美術の発展と日欧文化交流促進の一助として(1)日本のアーティストにはベルリンで、ドイツのアーティストには東京で、それぞれ約3ヶ月間のアーティスト・イン・レジデンスを体験してもらう、(2)その成果を踏まえた参加アーティストの合同展覧会を原美術館が企画・開催する、というものです。
名称変更に伴い、展覧会では直近の派遣・招聘アーティストに加えて、過去の参加作家から1名に出品依頼し、「アート・スコープ」参加以後もキャリアを積み重ねている招待作家の新作を通して、四半世紀を越えて継続する本プログラムの歴史と変遷を検証します。
なお、アーティスト・イン・レジデンスとは、あるアーティストが一定期間滞在して制作活動あるいは制作のためのリサーチ・研究を行いながら、滞在先で交流を深めるプログラムのことで、世界各国で盛んに行われています。日本国内では1990年代以降、主に自治体やNPO等が受け皿となって活発化し、現在に至っています。



原美術館とのパートナーシップの歴史
原美術館がこれまでに開催してきた「アート・スコープ」の展覧会と出品作家(年代降順)

2017年 「メルセデス・ベンツ アート・スコープ2015-2017─漂泊する想像力」★
    泉太郎、メンヤ・ステヴェンソン、佐藤時啓

2014年「アート・スコープ2012-2014」─旅の後もしくは痕
    今村遼佑、大野智史、リタ・ヘンゼン、ベネディクト・パーテンハイマー

2011年「アート・スコープ2009-2011」─インヴィジブル・メモリーズ
    小泉明郎、佐伯洋江、エヴァ・ベレンデス、ヤン・シャレルマン

2008年「アート・スコープ2007/2008」─存在を見つめて★
    加藤泉、照屋勇賢、エヴァ・テッペ、アスカン・ピンカーネル

2006年「アート・スコープ2005/2006」─インターフェース・コンプレックス★
    森弘治、名和晃平、カーチャ・シュトルンツ、ゲオルグ・ヴィンター

2005年「アート・スコープ2004」─Cityscape into Art
    荘司美智子、ヨハネス・ヴォンザイファー


原美術館がパートナーとなる以前の「アート・スコープ」は、日本作家の派遣のみ行うプログラムで、アーティスト・イン・レジデンスの場所は南仏モンフランカンでした。
この時期の参加作家(年代降順)

高橋信行(2002)、秋山さやか(2001)、前沢知子(2000)、伊庭靖子(1999)、小林孝亘(1998)、鯨津朝子(1997)、邱世源(1996)、江上計太(1995)、岡崎乾二郎(1994)、佐藤時啓(1993)、柏木弘(1992)、増田聡子(1991)

原美術館ではパートナーシップ締結を機に、2003年、この12作家による展覧会『「アート・スコープ」の12年─アーティスト・イン・レジデンスを読み解く』★を開催しました。
なお、★印の展覧会は、ドイツ・ダイムラー社がベルリンで運営する現代美術ギャラリー「ダイムラー・コンテンポラリー Daimler Contemporary」にて巡回展を行いました。

2020-6-26