ラッタナ・ヴァンディー
>>> English
Rattana Vandy / ラッタナ・ヴァンディー (1980年カンボジア、プノンペン生まれ、台湾在住)
Still from "MONOLOGUE" , 2015
Single channel HD video, color, sound
台北とパリ、プノンペンを拠点に活動しているアーティスト。2007年に、アーティスト集団 スティーブセラパック(美術の反抗者)の共同設立者となり、2009年にメンバーと共に Sa Sa Art Gallery を設立した。2011年にはカンボジア初の現代美術の展示スペース SA SA BASSAC を立ち上げる。独学で写真を学び、2005年より写真家としての活動を実験的に開始。身の回りにある文化的なモニュメントや、物語を記録することの重要性や役割を考察している。主に、フィルムカメラを用いたアナログな手法により、厳格なフォトジャーナリズムと芸術的実験の境界線をまたぐような作品を制作している。近年では、歴史的文献とイメージ構築の関係性を哲学的に探求する作品を多く制作している。ヴァンディーにとって写真とは、虚構の構築物であり、抽象的かつ詩的な表面を持ち、自らの歴史を語るものである。近年では、映像制作に興味を持ち、最新作として短編映像「MONOLOGUE《独白》」を制作。2014年には外国語の書籍をクメール語へ翻訳し出版する Ponleu Association を共同で設立し、それまでクメール語に翻訳されていなかった外国語の資料にアクセスできる機会を提供している。また、自費出版も行い、哲学や科学、文学などさまざまな領域における知の共有を目指している。
近年の主な個展に「MONOLOGUE」(Jeu de Paume、パリ/2015年)(CAPC現代美術館、ボルドー/2015年)、「Surface」(SA SA BASSAC、プノンペン/2013年)、「Bomb Ponds」(アジア・ソサエティ美術館、ニューヨーク/2013年)(ヘッセル美術館、ニューヨーク/2010年)、主なグループ展に、「dOCUMENTA(13) 」(カッセル、ドイツ/2012年) 「The 19th Noorderlicht International Photofestival Terra Cognita」(オランダ/2012年)、「第1回キエフ・インターナショナル・ビエンナーレ」(キエフ、ウクライナ/2012年)、「Institutions for the Future、Asia Triennial Manchester II」 (マンチェスター、イギリス/2011年)、「第6回アジア・パシフィック現代美術トリエンナーレ」 (ブリスベン、オーストラリア/2009-2010年)などがある。東京では、2015年4月11日から6月28日まで東京都現代美術館(清澄白河)で開催された「 TIME OF OTHERS / 他人の時間」展(2015年)にも参加している。
2015年、第2回ヒューゴ・ボス・アジア・アート賞の最終候補者に選ばれている。
www.vandyrattana.com
滞在期間:2015年5月13日-7月31日まで
助成機関:バッカーズ・ファンデーション
展覧会: 「TIME OF OTHERS/他人の時間」 (2015年4月11日 - 6月28日 東京都現代美術館)
関連トーク: 「TIME OF OTHERS」 Meeting the artist Vol.1 Rattana Vandy (2015年5月30日(土)15:00 会場:東京都現代美術館 展示室)
展覧会:The BAR Vol.8 「Today of Yesterday - 過去に在る、いま」カンボジアからのアーティスト、ラッタナ・ヴァンディーとカニータ・ティスの新作展 (2015年7月11日(土) - 2015年7月25日(土)、 会場:山本現代)
オープニング・レセプション:2015年7月11日(土) 18:00 - 20:00
トーク: AIT ARTIST TALK #67
「映像とトークで触れるカンボジアの『過去に在る、いま』」カンボジアより、アーティストのラッタナ・ヴァンディーとカニータ・ティスを迎えて (2015年7月15日(水)19:00-21:00 会場:AITルーム代官山)
Bomb Ponds, 2011
Still from "Bomb Ponds" 2011, Video
Looking In My Office 7, 2006
Surface, Portugal, 2011
Surface, France, 2011
Surface, France, 2011
《アーティストからの滞在の感想とコメント》(掲載日:2015/12/3)
質問1:バッカーズのレジデンスはどうでしたか?
「疑う余地なく、作家にとても親身で、経済的な面においても活動の励ましにおいても十分な支えを、
このレジデンス・プログラムは与えてくれました。」
浅草橋の工房にて作品制作中のラッタナ・ヴァンディー
質問2:滞在で最も印象に残った経験は何ですか?それは制作にどのように影響していますか?
「日本は、ある意味でとても静かです。特に地下鉄では、多くの人が足音だけを響かせながら急ぎ足で歩いています。これは、宮崎駿監督の映画作品のなかに聴こえる音を思い出させました。日々の生活には驚くことが多く、また、それは非常に豊かでもありました。滞在の間に訪れた中で、飲み屋がとりわけ大衆的な場所であることを知りました。映画のような情景、熱い議論、タバコの煙や威勢の良い声...居酒屋では全てが混ざり合っています。そして、それは日本にまた戻りたいと思わせるものでもあります。
また、私は、日本人の働き方にとても強い影響を受けました。彼らが日々の仕事に注ぐ努力を心から尊敬していますし、その姿は、私に力強さと新たなエネルギーを与えてくれました。そして、今回の滞在制作を経て、不思議と今後の作品制作への自信を感じることができました。私はもっと映像作品を作らなくては!と思いました。今回、両手が疲れるほどせわしなく釘を板に打ち続け、そこに付いた絵具の黒いシミが物語っています。今後の映像制作への強い思いは、あの時の釘のおかげです。」
2015-5-28