AIT ARTIST TALK #67 「映像とトークで触れるカンボジアの『過去に在る、いま』」
AIT ARTIST TALK #67
「映像とトークで触れるカンボジアの『過去に在る、いま』」
カンボジアより、アーティストのラッタナ・ヴァンディーとカニータ・ティスを迎えて
日時:2015年7月15日(水)19:00-21:00 *要予約
AIT ARTIST TALK #67: "Today of Yesterday"
Talk and Film Screening by Rattana Vandy and Kanitha Tith from Cambodia
Date and Time: Wednesday, July 15 2015, 19:00 - 21:00
Top Left: Rattana Vandy, Looking In My Office 7, 2006 / Top Right: Rattana Vandy, Surface, France, 2011
Bottom Left: Kanitha Tith, Season of Cambodia, Transparent Studio at Bose Pacia, NYC photo courtesy: Pete Pin
Bottom Right: Kanitha Tith, "Endlessly"(2011), Photo by Heng Ravuth
「カンボジアからの気鋭のアーティストが映像とトークで語る歴史・記憶・時間」
AITでは、7月15日(水)の19:00より、カンボジアより、アーティストのラッタナ・ヴァンディーとカニータ・ティスの2人を迎え、AIT ARTIST TALK #67 を開催します。2人は現在、バッカーズ・ファンデーションの助成により、AITのレジデンス・プログラムにて東京に滞在しています。
本トークは、7月11日から25日まで、山本現代にて開催される2人の展覧会「Today of Yesterday - 過去に在る、いま」展の関連企画として開催されます。
独学で写真を学んだラッタナ・ヴァンディー(1980年生まれ)は、ジャーナリストとしての活動経験を経て、現在は主に写真や映像を制作しています。近年は、東京都現代美術館ほか国内外に巡回する「TIME OF OTHERS/他人の時間」展を始め、「dOCUMENTA(13)」などの名立たる国際展、また、本年の『Hugo Boss Asia Art Award』のファイナリストの一人にも選出されるなど、カンボジアにおける気鋭の若手作家の一人です。
最新の映像作品「MONOLOGUE《独白》」では、クメール・ルージュ統治時代に命を落とした"あなた"への語
りかけを綴り、決して歴史化されることのない時間や痛みを映し出したほか、近年は、ポル・ポト時代に焚書政策で失われた哲学書や専門書をクメール語に翻訳するプロジェクトを通して、その記憶や歴史に触れる活動を
行っています。
カニータ・ティス(1987年生まれ)は、彫刻やパフォーマンス、インスタレーションなど、多岐に渡る表現を行っています。これまでに、水着をまとった自らの身体に水と砂を浴びせ続けるパフォーマンス作品「Heavy Sand」(2012)のほか、針金の彫刻と女性の下着で構成されるインスタレーション「Season of Cambodia」(2013)などを通し、カンボジアにおける女性に向けられるステレオタイプな眼差しへの問いかけ、また、資本や権力の下で消えてゆく歴史や場所などを取り上げた作品を制作しています。
2010年には芸術活動を通じて、カンボジア女性の権利や社会的立場の向上のために貢献した女性に贈られる
『You Khin Memorial Women's Art Prize』を受賞しました。
近年、経済発展を迎えながらも、カンボジアにおける歴史や時間の多くは埋もれたままであるといえるでしょう。
当日は、二人の映像作品とトークをふまえて、アーティストが眺めるカンボジアの社会的状況、また、彼らが表現を行うにあたっての思考について耳を傾けてみませんか。みなさんのお越しをお待ちしています。
*なお、同プログラムにて、ポーランドからキュレーターのマリアンナ・ドブコウスカが7月7日から日本に滞在します。彼女のキュレーター・トークは、7月22日(水)にAITにて英語のみで開催します。
詳細は近日中にメールニュースとウェブサイトにて告知いたします。こちらもぜひご参加ください。
[ 概要 ]
日時:2015年7月15日(水)19:00-21:00
場所:代官山AITルーム 渋谷区猿楽町30-8 ツインビル代官山 B-403
主催:特定非営利活動法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]
共催:バッカーズ・ファンデーション
定員:30名(予約制)
参加費:一般1,000円、学生・ベースメンバー800円、ハウス/サポートメンバー無料
その他:1ドリンク付き、逐次通訳付き
[ お申し込み方法 ]
otoiawase@a-i-t.net 宛てに、タイトルを「AIT SLIDE TALK #67参加希望」とし、お名前(ふりがな)、ご連絡先を明記したお申込メールをお送りください。(@を半角にして、お使いください)
[ アーティストについて]
ラッタナ・ヴァンディー(1980年カンボジア、プノンペン生まれ、台北在住)
Still from "MONOLOGUE", 2015, Single channel HD video, color, sound
台北とパリ、プノンペンを拠点に活動しているアーティスト。2007年に、アーティスト集団 スティーブセラパック(美術の反抗者)の共同設立者となり、2009年にメンバーと共にSa Sa Art Galleryを設立。2011年にはカンボジア初の現代美術の展示スペースSA SA BASSACを立ち上げた。独学で写真を学び、身の回りにある文化的なモニュメントや、物語を記録することの重要性や役割を考察している。主に、フィルムカメラを用いたアナログな手法により、フォトジャーナリズムと芸術的実験の境界線をまたぐ作品を制作している。近年では、歴史的文献とイメージ構築の関係性を哲学的に探求する作品を多く制作している。ヴァンディーにとって写真とは、詩的で抽象的なフォルムに包まれた、自らの歴史を語る虚構の構築物である。近年では最新映像作品「MONOLOGUE《独白》」(2015)を東京都現代美術館から国内外に巡回する「TIME OF OTHERS/他人の時間」展(2015年)に出品している。また、教育への関心も高く、2014年には外国語の書籍をクメール語へ翻訳し出版するPonleu Associationを共同で設立し、それまでクメール語に翻訳されていなかった外国語資料にアクセスできる機会を提供している。自費出版も行い、哲学や科学、文学などさまざまな領域における知の共有を目指している。
www.vandyrattana.com
カニータ・ティス (1987年カンボジア プノンペン生まれ、在住)
プノンペンを拠点に、彫刻やパフォーマンス、インスタレーションなど多岐に渡るメディアを用いて領域横断的に作品を制作している。ティスの作品には、カンボジアの伝統的な調理釜から集めたワイヤーなど、カンボジアでは日常的に見ることができる素材が多く使われている。細い針金を編んだ彫刻作品には、ティス個人の記憶や経験に加え、コミュニティが抱える問題との関わり方、ジェンダーや女性のアイデンティティーなど、アーティストの役割とその可能性への問いが表現されている。ティスの作品は、近年のカンボジアが迎えている個と都市空間における経済や社会の変化、身の回りの環境の変化を喚起する、視覚的で詩的な表現であるといえるだろう。また、映像制作にも関心を持ち、フランス系カンボジア人の映画監督Davy Chouとアメリカ系カンボジア人のミュージックバンド、Dengue-Feverのプロジェクトに衣装デザイナーとして参画し、コラボレーションを行った。
AIT ARTIST TALK #67
'History, memory, time.'
An evening talk and video screening with two emerging artists from Cambodia.
Arts Initiative Tokyo [AIT] is pleased to present AIT ARTIST TALK #67 on Wednesday, July 15.
Commencing at 7pm, the talk and video screening will be led by Rattana Vandy and Kanitha Tith,
two Cambodian artists who are currently in Tokyo with the support of The Backers Foundation and AIT.
The event has been organised in conjunction with Vandy and Tith's exhibition, "Today of Yesterday",
which will open on July 11 at YAMAMOTO GENDAI.
A self taught photographer with a background in journalism, Rattana Vandy (b. 1980) is an artist working
predominately with photography and video. As one of Cambodia's up-and-coming artists, Vandy has had
his work featured in recent exhibitions including "TIME of OTHERS" at Tokyo Metropolitan Museum of
Contemporary Art and "dOCUMENTA(13)", and was also shortlisted for this year's Hugo Boss Asia Art Award.
In his most recent video work, "MONOLOGUE", Vandy speaks to those who lost their lives during the
reign of the Khmer Rouge, addressing the time and pain that have since been removed from history.
Through a translation project that has been reviving Khmer-language philosophy and technical texts
lost through the bookburning policies of the Pol Pot era, Vandy has been reflecting on memory and history.
Kanitha Tith (b. 1987) is an artist who produces works across a range of media including sculpture,
performance and installation. As an artist that questions the stereotypical roles assigned to women in
Cambodia and the loss of history and place under the weight of power and capitalism, Tith's previous
works include "Season of Cambodia" (2013), an installation comprising wire sculptures and women's
underwear, and "Heavy Sand" (2012), a performance in which she wore a bathing suit and showered
in a mix of water and sand. In 2010, Tith received an honourable mention at the inaugural You Khin
Memorial Women's Art Prize, an award that recognises contributions to improving the rights and social
status of women in Cambodia.
While celebrating strong economic growth in recent years, Cambodia is a country where much remains
buried in history and time. Throughout the evening, the artists will use their talk and video screening
as the basis for taking a broader look at their country's social circumstances, while also shedding light
on the thinking behind their practice. We hope that you can join us for this insightful and thought-provoking evening.
>>> Read more
2015-7- 1