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The Backers Foundation and AIT Residence Programme (The BAR Vol.11)



バッカーズ・ファンデーションとAITは、2007年からアーティスト・イン・レジデンスプログラムを通して協働を続けています。
これまで10回を数えた本プログラムは、毎年2名のアーティストと1名のキュレーターを日本に招聘して、リサーチと制作に続く展示の機会を設けることで、国際的な芸術文化の交流の場として役割を担いました。プログラム終了後、これらのアーティストとキュレーターは、国内外で展覧会や芸術祭に招かれたり、関心領域や創作に対する思考、方法論が多方向に伸びるなど、普段の生活環境から離れて養われた視点はそれぞれの活動において今も欠かせないものとなっています。また、その後も日本を訪れ、当時の記憶を振り返りながら、アップデートされたレンズで日本を見つめ直しています。
「ホームアゲイン −Japanを体験した10人のアーティスト」展(原美術館、2012年)
のために再来日したアーティスト 撮影:木奥恵三


本プログラムは、今後もアーティストの表現活動を促進させ、また国内外で新しい経験と研鑽を積む機会を継続的に支援することを主眼に、2019年より、日本を活動拠点とする2名のアーティストを選出して、海外のレジデンス機関、またはアーティスト自身が選択する訪問先に派遣します。

The BAR Vol.11として推薦により選ばれたアーティストは、2週間から1ヶ月間をかけて、フランスやイタリアなどヨーロッパ各国を中心に、西洋絵画の歴史を再訪してこれまでの思考をさらに深めたり、各地で活動するアーティストやアートスペースの訪問にあわせて議論の場を設けるなど、海外における創作活動の鼓動とアートシーンを体感する機会を得ています。

引き続き、アーティストやキュレーターによるリサーチや滞在制作の様子、その後の活躍など、国内外のあらゆる場所に派遣する本プログラムの今後をお伝えしていきます。


左:オルセー美術館(パリ)展示風景/右:ヴェッキオ宮殿(フィレンツェ)の一室。メディチ家の宮廷画家であるブロンツィーノが手がけた壁画と絵画 撮影:横山奈美

【アーティスト紹介】

横山奈美 / Nami Yokoyama [フランス、イギリス、イタリア訪問/2019年6月]
岐阜県生まれ。日常生活で見つけたものを主役のモチーフにすることで、与えられた意味と用途から離れて、人間よりも大きな物体や生物、風景へと見え方を変える油彩画を制作。それは、捨てられていく物の宿命という柵を取り払い、物が持つ根源的な存在感を現している。主な個展に「やり直し」(KENJI TAKI GALLERY、2016年)、「LOVEと私のメモリーズ」(金沢21世紀美術館、2019年)、グループ展には「手探りのリアリズム」(豊田市美術館、2014年)、「VOCA展2015 現代美術の展望─新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、2015年)、「日産アートアワード 2017」(BankART Studio NYK 2F、2017年)がある。
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千葉正也 / Masaya Chiba [オーストリア、スイス、ドイツ、ベルギー、フランス、イタリア訪問/2019年6-7月]
神奈川県生まれ。千葉正也が描き出す手作りのオブジェや写真、時にはペットが現れる奇妙かつ混沌とした虚構の風景は、千葉ならではの身体的感覚を通じて可視化した、不安や危機感漂う現代社会のアレゴリーでもある。主な個展に「Pork Park」(SHUGOARTS、2016年)、「宇宙英雄ペリーローダンと私の生活」(Art Center Ongoing、2018年)、 グループ展に「12th Shanghai biennale」(Power Station of Art、2018年)、「ふぞろいなハーモニー」(広島市現代美術館、2015年)がある。
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[プログラムの歩み]
The Backers Foundation and AIT Residence Programme (The BAR)は、特に、芸術文化分野やアーティストの創作活動に対する支援が小さい国にも関心を向け、これまで中南米やアフリカ、東南アジアを含む15カ国より20名のアーティストと10名のキュレーター、アートライターを招聘して、日本でのリサーチと作品制作の支援、また、展覧会として新作を展示、プログラムの成果を発表してきました。
2012年には、プログラムの開始から5年を記念して、原美術館(品川)を会場に「ホームアゲイン −Japanを体験した10人のアーティスト」展を開催、アーティストを再び日本に招いています。また、10年の節目となった2018年は、六本木に構える小山登美夫ギャラリー、シュウゴアーツ、タカイシイギャラリーの協力のもと、これまでプログラムに参加した20名のアーティストによる作品を「東京 アラカルト -The Backers Foundation and AIT Residence Programme (The BAR) 10年の記憶」展で一堂に展示して、同時に、アーティストや関係者がプログラムを振り返る言葉を寄せた小冊子も制作しました。

[バッカーズ・ファンデーションとは]
バッカーズとは「バックアップしていく人たち」という意味を表し、オーナー型経営者が集まり社会貢献事業を行う経営者有志の任意団体です。1994年に社団法人日本動物福祉協会を女性することからスタートして、今では、さまざまな団体の活動を支援金で助成するだけでなく、実際に会員たちが現場に足を運び「良い事を楽しく」を合言葉に活動しています。現在は60人の会員が在籍して複数の委員会を作り、自らが手作りの活動を行なっています。本レジデンスプログラムのほか、2005年より、子どもたちを対象にした「バッカーズ寺子屋」塾の運営も行なっています。

2019-7-18