AIT でのインターンを経て
2019年7月から2020年1月まで、AITのインターンシップに参加いただいた毛利芽衣さん(武蔵野美術大学4年生)によるレポートです。この春から新社会人として新しい生活をスタートされる芽衣さんの今後のご活躍を応援してます!約7ヶ月間、本当にありがとうございました!
短い期間ではあるが、アートがどのように社会と関わり、どのように繋がっているかを知れたことが一番の学びであった。たとえば、展覧会や美術館とどのように連絡をとって関わっているか、リサーチをどのような基準でしているのか、どのような広報を行い、誰と繋がるのか。アート施設は、あちこちにあるとはいえ、実情としては、横のつながりが強くお互いの協力の上で成り立っている業界であるとも感じた。展覧会やイベントを探す方法は、日々の過ごし方にも有意義に使えるようになったし、エクセルなど基礎的な事務の技術も使えるようになった。
2019年、AITレジデンスプログラムで滞在したハリス・エパミノンダとその家族たちと
また、AITの特徴として、掲げられている「現代アートと視覚文化を考えるための場づくり」というものがまさしく一言で表せる場所であるとも感じた。人と人を繋げる役割を大きく果たしている。それはもちろん外へと広げるものでもあるが、働いているスタッフも同様に、意見を交換したり、スタッフ同士のつながりも強く感じた。その中でも「考える」ということを大切にしていて、自主的な思考が、AITの活動をより豊かにしているのではと思った。
イベントがない日でも、アーティストやMADの受講生が気軽に訪れて、一緒にご飯を食べるなど、自然にコミュニケーションがなされていた。私自身、日常でアーティストとの出会いが珍しいので新鮮な気分だった。どんな人が、どんな作品を作っているかということが、近い距離で知れることが興味深く、「作品」には「中の人がいる」という事実を考え直すきっかけとなった。何気なく観る作品にも「中の人」が存在する。そこには、そのひとの人柄であったり、人生であったり、思考であったり、さまざまなものが映し出され、込められている。影響を与えた何かが存在している。それを知って、また鑑賞の見方が変わる面白みを感じた。
2019年10月19日(土)と20日(日)に多摩センター付近で行われたフェスティバル「NEWTOWN」(主催:CINRA.NET)に、dear Meプロジェクトが出店。子ども参加型のプログラム 子ども駄菓子屋「たばZ」を開催。写真右:Photo by Miki Kitazawa
「自分自身の持つ鑑賞」を得るには、考えることが必要だと思う。その場所を提供するAITは、アートの楽しみ方を広げるとともに、アートの社会的役割を考えるきっかけをつくっている。さらにここで得た学びは、双方的にコミュニケーションをすることで、思いも寄らない気づきや発見をすることができる。子どもとアーティストを繋げる「dear me」、レジデンス・プログラム、企業との連携企画、現代アートに関心のある人のための教育プログラム「MAD」など、多方面からのアプローチで、アーティストだけでなくさまざまな人が、さまざまな感性や感覚を持ってつながることができる場だ。たとえば美術大学であれば、多くの視点の人と議論ができる環境があるが、そうでなければ、こうした場や機会に触れることは数少なく感じる。そういった中で、学び考える場があるということは貴重であると、AITのインターンを通して大きく感じた。
毛利 芽衣
武蔵野美術大学芸術文化学科4年
インターン期間:2019年7月〜2020年1月
2020-1-27