"アート"の存在しない世界を探検!?【MAD WORLD with NODE ワークショップ】フォトレポート
AITでは、メインストリームからオルタナティヴなアートシーンまで、AITが注目する、世界で活躍している国内外の専門家を招いて行う特別講座「MAD WORLD」を不定期でスタートすることになりました!
記念すべき第1回目として、ベルリンでキュレーター向けのレジデンスや教育プログラムを手がける文化機関「The Node Center for Curatorial Studies」(NODE)のディレクター、ペルラ・モンテロンゴ氏による英語でのセミナーとワークショップ『MAD WORLD with NODE 』を開催しました。
アートへの固定概念を取り払い、そこに新たな見方と解釈の可能性を探ろうとするこのワークショップは、「日産アートアワード2015」展(BanKART1929、横浜)を会場に行われました。
まずは、スライドと映像を使ったレクチャー形式で、これまでNODEが行った活動や、今後のヴィジョンを学びます。
参加者全員の英語による自己紹介のあとは、この日のためにモンテロンゴ氏が特別に用意したギアが配られ、それを自由に身につけます。そのまま、キャッチボールのように名前を呼び合うゲームで簡単なウォーミングアップ。視覚と聴覚を頼りに、反射神経を研ぎ澄ませてゆきます。
そして、いよいよワークショップの開始!
あたりには宇宙感が漂う効果音が流れ、まるで宇宙船の操縦室にいるような映像を目の前に、私たちの緊張と興奮は高まります。そこに、モンテロンゴ氏からワークショップのミッションが言い渡されました。
『「アート」という概念や歴史が全く存在しない、架空の未来を想像してください。そこでは、「陸の航海術研究所」と呼ばれる機関が、奇妙な物体(私たちが考えるところの「アート作品」) の目的や活用法など、さまざまな情報を調査研究しています。そこの研究員であるみなさんは、奇妙な物体のナゾを解き明かします。』
ワークシートをもとに、調査に与えられた時間はたったの6分。
というのも、それまでに展示室から戻ってこなければ、酸素が無くなってしまうからです。
さあ、一斉に調査開始!
この物体は、一体なんだろう。
素材は? かたちは? 大きさは?
6分の調査を終えると、研究員たちは一旦宇宙船に戻り、チーム同士で報告。そしてまた、次の調査に向かいます、これを何度か繰り返します。
一体、何のためにつかわれていたのだろう。
どうしてこんな形状をしているのか。
あれ、よくみると、なにかに似ているぞ?!
直感で感じた意見を出し合い、調査結果をまとめます。
最後は、調査結果をプレゼンテーション!
特別研究員が、プレゼンテーションをもとにそれぞれの研究チームのアイディアをドローイングにしました!
遊び心あふれるこのアプローチによって、展示室内を自由に探検し、今までとは異なる方法でアートに触れ合うことができました。現代アートは、専門知識がないと難しいと思われがちな側面もありますが、難しい知識は抜きにして、まずは自分が見たものや感じたことを頼りに作品をみることから始めてみると、そこにもアートの楽しみ方が広がっていることが分かります。それは、アートに限らず全ての物事においても、視点を変えて見ると、新たなアイディアやさらなる気づきを得られることともつながり、参加者の自信にもつながったように思いました。全員が想像力を広げて行くことに挑戦し、自由な発想とユニークな視点で取り組んでいたのがとても印象的でした。
ワークショップを一緒に取り組んだ皆さんで集合写真。おつかれさまでした!
AITでは、これからも新しい発見や学びに繋がるプログラム作りを目指してゆきます。
第2回目の「MAD WORLD」も、是非お楽しみに。
テキスト:依田 理花 (AIT)
《参加者の声》(抜粋)
☆ 日本でこういった英語で学べるワークショップの機会はなかなかないので、これからも参加したい。
☆ 現代アートは難しく考えなくていいのだと思えることができた。
☆「発想」に対して自信を持てるようになり、他の人の意見にもバリアを張らず受け入れてみようと思った。
☆ 小道具の準備やストーリー設定の準備がしっかりしていて、とても楽しめた。
☆ それぞれの意見に否定的にならず、オープンマインドな状態になれたのが新鮮だった。
2016-1-15