FREE MADとは?
1900年から2003年の美術史約100年分をオンラインで学べる無料レクチャーです。テーマごとに5から10のレクチャー(各30分)を、不定期に配信します。
100年の旅をナビゲートするのは、MADプログラム・ディレクターのロジャー・マクドナルドと英国で出版された20世紀芸術の概説書『1900年以降の芸術:モダニズム、アンチモダニズム、ポストモダニズム(Art Since 1900)』。パブロ・ピカソの≪アヴィニョンの娘たち≫やマルセル・デュシャンの≪泉≫、またロシア構成主義など、世界のアートの歩みに大きな衝撃を与えた運動や思想、作品、批評を紹介し、日本語でわかりやすく解説します。
いつも「何か違うもの」を求めたアーティストたちの考えや態度には、きっと私たちの日常生活や仕事の方法や仕組みを変えるヒントがたくさんあるはず。常識を疑い、新たな価値へ向かう彼らの姿勢から、「世界」を捉え直してみませんか?
この度、AITの設立10周年を記念して、これまでAITを支援してくださった皆様への感謝と、AITが蓄積した知識や経験を多くの人と共有し、混迷する時代においてなおアートが必要であることを広く伝えてゆきたいとの思いから、無料公開をすることにしました。(2012年1月)
FREE MADはこんな方にお勧めです
・ まずは少しずつ、現代アートを眺めてみたい方
・ アートを学びたいけれども、AITの講座に通う時間が取れない方
・ 身近に現代アートを学ぶ場がないという方
・ 現代アートを知ることによって、斬新な考え方に触れたい方
スマートフォンでも閲覧可能
FREE MADでは、動画共有サイトvimeoを採用しており、iPhoneをはじめとするスマートフォンからもご利用できます。通勤中やご自宅で、いつでもどこでもアートを学ぶことが可能です。
1951 - 1959a 次世代へ(9レクチャー)
抽象表現主義から見放され、ミニマリストアーティストの父として歓迎されたバーネット・ニューマンの展覧会や、抽象表現主義を批判したジョン・ケージとロバート・ラウシェンバーグの表現、消費資本主義を文化・政治から批判した「状況主義インターナショナル(SI)」などを取り上げながら、20世紀の抽象芸術の歴史性、時代性、コンテクストについて解説します。また、日本の「具体」やブラジルの「ネオコンクリート運動」など、同時代における非西洋圏の活動を紹介。後半(1958-1959)では、次世代の到来を象徴するアーティスト、ジャスパー・ジョーンズやフランク・ステラ、ルーチョ・フォンタナ、ピエロ・マンゾーニの展覧会や作品について解説します。
1945 - 1949 ドリップと落書きから、新たな地平へ(5レクチャー)
第二次世界大戦後、彫刻は産業的・大量生産的な思考と方法論が導入され、彫刻の概念や見方が変化していきました。同時 期にパリの美術界に衝撃を与えたジャン・デュビュッフェの展覧会が開催され、また、ヨーロッパから亡命したバウハウスの講師達がアメリカのノースカロライ ナ州で「ブラック·マウンテン·カレッジ」を開講するなど、様々な場所で実験的な美術教育が展開されました。そして、アメリカでは、「抽象表現主義」とい う絵画運動が誕生し、1949年、アメリカの大衆誌『ライフ』の表紙にジャクソン・ポロックが載り、「彼はアメリカで今生きている最も偉大な画家か?」と いうセンセーショナルな記事が掲載されました。
1942a - 1944b 戦争と亡命(5レクチャー)
アメリカのリベラルな評論誌「パルメザン・レビュー」とアメリカの美術評論家クレメント・グリーンバーグがそれまで支持していたマルクス主義との決別を表明。第二次世界大戦を機に多くのヨーロッパ出身のアーティストがニューヨークへ移住し、重要な展覧会を次々と開催しました。また、第二次世界大戦後、パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、ジョルジュ・ブラック等の巨匠たちがそれぞれに新たな制作方法に挑戦し、若いアーティストにさまざまな影響を与えました。その他、それまで白人中心のアート界で、アフリカン・アメリカン・アートに関する初の研究が発表されたことや、ピエト・モンドリアンが最後に手がけた未完のペインティング「ビクトリー・ブギウギ」ついて取り上げます。
1934b - 1937b メカニックと表象(5レクチャー)
イギリスを代表する彫刻家ヘンリー・ムーアは、模型を造ったり鋳造をせず、直接彫刻を掘る「ダイレクトカービング」という手法から、彫刻の新たな方向性や美学を展開しました。また、この時期は複製技術や機械技術の発展が芸術に大きな影響を与えました。ドイツの文芸評論家ウォルター・ベンヤミンは「複製技術時代の芸術」の中で、それまでは「一点もの」であったアート作品の価値が、複製されることによってどのように変化するかを論じました。世界恐慌下のアメリカでは、当時の農村の「記録」を目的としたドキュメント写真を撮った写真家達の活動が注目されました。さらに、第7回パリ万国博覧会は第二次世界大戦前の不穏な世界状況を反映したとして評価されます。最終年では、ロシア・アヴァンギャルドの美術家、彫刻家であるナウム・ガボらによる「幾何学的抽象」の台頭を取り上げます。
1930a-1934a 消費社会とレボリューション!(5レクチャー)
大量消費社会が加速する中、ドイツでは広告やファッション誌の写真の担い手として、数多くの女性写真家を生み出しました。 また、この時期はシュールレアリスムにおいて、フランスの思想家ジョルジュ・バタイユが批評を展開したり、サルバドール・ダリがアルベルト・ジャコメッティとともに生み出したオブジェが話題を呼ぶ等、注目すべき出来事が続きます。さらに、アメリカでは国を追われたメキシコの壁画画家達が描いた政治的な作品が、完成前に破棄されるスキャンダルも。 最後には、旧ソビエト連邦における社会主義リアリズムの発足について取り上げます。
1923-1929 近代化の悪夢? -「機械」の時代(10レクチャー)
近代化の中で機械が登場したことは、アーティストたちの思想や作品に大きな影響を与えました。こうした流れから生まれた、バウハウスやシュルレアリスム、 ル・コルビジェの有名な「機械の美学」やドイツの新即物主義、そしてクルト・シュヴィッターズのメルツ絵画を取り上げます。そのほか、ルネ・マグリットに よる広告デザイン、コンスタンティン・ブランクージの新たな彫刻、アメリカにおける近代化と機械、そして史上初の大規模な写真とフィルムの国際展 「Film und Foto」展の開催について解説します。
1914-1922 -「壊す」ことから生まれるアートと、アウトサイダー・アート(10レクチャー)
マルセル・デュシャンの既製品を用いたレディー・メイド作品や、ダダイストたちによるロシア古典芸術への批評を取り上げるほか、アルフレッド・スティーグリッツが築いたアメリカの写真の存在、ピエト・モンドリアンの抽象絵画、デュシャンが描いた最後のペインティング「Tu m'」を紹介します。また、ピカソのアンチ・モダニズムの時代や、ロシア構成主義にみるダダイスト達の過激な政治運動にも触れます。後半では、アウトサイダー・アートがパウル・クレーやマックス・エルンストに与えた影響について眺めます。
1908-1913 - 機械の時代と現実を映し出す新しいイメージ(6レクチャー)
抽象芸術や英国における抽象絵画派によって生まれた新たな理論をはじめ、歴史に抵抗を示すイタリアの未来派、また、マティスによる新たな巨大絵画、キュビズムの発展とヨーロッパにおける抽象芸術の始まりを取り上げます。
1900-1907 - 夢想家と荒くれ者たち(5レクチャー)
ウィーンにおけるエゴン・シーレやグスタフ・クリムトによる新たな表現芸術とフロイトの影響をはじめ、マティスの彫刻、ゴーギャンのプリミティヴィズムとその影響について取り上げます。また、セザンヌの死後より始まるフォーヴィズム、ピカソの「アヴィニョンの娘たち」から見えるピカソの模倣表現への批判にも触れます。
<ご注意>
・ 動画では、英文テキスト『Art Since 1900』を参照にしながらレクチャーが進んでいます。FREE MADでは、このテキストを配布しておりません。予めご了承ください。
・ FREE MADでは、動画共有サイトvimeoを採用しており、レクチャーの動画を再生するにはAdobe Flash Player(バージョン10.0.0以上)が必要となります。ご使用のパソコンにFlash Playerがインストールされているかをご確認の上、動画をご視聴ください。
・ レクチャー内容に関する質問は、受け付けておりませんので、ご了承ください。
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