Horror Vacui - 余白の恐怖
さて、これは何でしょう。
よーく見ると、本棚や折りたたみのイス、カラフルなティッシュの箱、ファイルやテレビ。これ、全部エイトのオフィスにあるもので作られています。この作品を制作したのは、現在、エイトのレジデンスで東京に滞在しているスウェーデン出身のアーティスト、マイケル・ヨハンソン。
さまざまな空間を、その場所にあるものをつかい、積み上げ、隙間無く埋め尽くすインスタレーションを制作しています。スウェーデンでは、フリー・マーケットに通い詰めては古い家具や電化製品、日用品などを集め、それらを一旦スタジオで保管。制作の際には、それらを使ってときには同じ色、形、また、生産された時代ごとなどにわけ、あらゆる隙間をきっちりと埋めていきます。小さなものであれば、食器や本など。大きいものであれば、その地域で使われていたコンテナやキャンピングカー、古い車など。場所の歴史や文脈によって、スケールはさまざまに変化します。
最初はペインティングやドローイングなど、平面作品を制作していたマイケル。一つの線を引くことで軸を決め、その周辺にディテールを足していくドローイングのプロセスは、やがて実際に手に持てる「もの」によって表現されるようになります。
作品は、ディテールを見ればみるほどユーモラスでおかしみを誘うものですが、同時に、私たちが普段、どれだけ多くの使わないものの中に囲まれて暮らしているのかが明るみになります。既に持っているのに、さらに持とうとする欲求。マイケルの作品は、そうした私たちの消費のあり方を考え直す時間を与えてくれているかのようです。
展示は、12月22日までエイトのオフィスで見ることができます。お近くにお立ち寄りの際にはぜひ。
残りの滞在期間、マイケルは、築地魚市場のさまざまな魚の並べ方や積み上げ方のリサーチを目指しています!
(N.H)
2011-12- 9