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The BAR vol.6「ざわめきのあらわれ / Divided Against Ourselves」展

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The Backers Foundation and AIT residence programme vol. 6
中米からの気鋭のアーティスト、アレグラ・パチェコ(コスタリカ)と アルベルト・ロドリゲス・コジア(グアテマラ)の2名の新作展!

会期:2013年7月13日(土)- 7月27日(土) 会場:山本現代(白金高輪)


AllegraPacheco AlbertoRodriguezcollia
左:アレグラ・パチェコ「Untitled」/ 2013年 (参考作品)  右:アルベルト・ロドリゲス・コジア「No lugar (Non place)」/ 2013年



プレスリリースはこちらDownload(PDF / 954KB)


-- オーナー型経営者とアートNPOが手がけるユニークなアーティスト・イン・レジデンス事業の6回目!--
-- 今年はコスタリカ、グアテマラ、そしてナイロビ出身のアーティストとキュレーターを招へい!--
-- 東京は「快楽抑圧都市」!? 若手アーティスト2名が、3ヶ月の滞在生活から見た「東京」を新作として発表!--


この度、バッカーズ・ファンデーションとNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]は、7月13日(土)から7月27日(土)まで、「ざわめきのあらわれ/Divided Against Ourselves」展を白金高輪の山本現代にて開催いたします。 本展は、海外のアーティストを東京に招へいするアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの成果展となり、本年はアレグラ・パチェコ(コスタリカ)とアルベルト・ロドリゲス・コジア(グアテマラ)の2名が、その3ヶ月の生活から見えた日本の発見、不可思議さ、思いがけぬ出会いなどを新作として発表します。

コスタリカ出身のパチェコは、主に写真やドローイングを制作しています。「Boobs(乳房)」(2012)では、コスタリカのラ・カルピオ地区の女性たちとの共同作業により、乳房の形をしたソフト・スカルプチャーを制作しました。移民女性の労働問題や社会状況を浮き彫りにするこの作品の売り上げは全て、その地区の女性支援に充てられました。本展では、東京の密集する建築や都市構造から見える過剰なまでの秩序や法則、そして人々を飲み込んでいくかのように増殖し続ける街の気味悪さやおかしみを、写真やドローイング、コラージュなどの新作として表現します。

今回、初来日となるロドリゲス・コジアは、インターネットや新聞から集めた画像など、他者の創作物を引用し、映像やドローイングを制作しています。2008年には、グアテマラのアーティストとともに、街で見つけたグラフィティや風刺画など、匿名の表現を集める「La Favorita (みんなの一番)」プロジェクトを行い、社会に溢れる声無き声の集合体を展示しました。今なお政治的に不安定なグアテマラに住むコジアは、氾濫するメディアイメージを巧みに借りながら、社会のあり方を嘲笑することを企みます。本展では、グアテマラと東京の自身の経験をモチーフに、半自叙伝的な物語を、新作の版画作品として発表します。

アートコレクターの台頭やアートマーケットの拡大により、近年、中南米のアートシーンは世界の注目を集めています。その一方で、それを構成する一つひとつの国の複雑な社会情勢や文化、また、創造力を、私たちは知る機会が少ないといえます。 地下鉄の中、ビルの隙間、街を歩くサラリーマンや学生、その出会いや観察の全てが制作のひらめきとなる彼らの体験を通して世界を眺めてみることは、私たちに、「知り得ぬもの」を想像する力を与えてくれるといえるでしょう。
みなさまのお越しをお待ちしております。

テキスト:堀内奈穂子(AIT)


[ 展覧会開催概要 ]
展覧会名:The BAR(The Backers Foundation and AIT residence programme)vol. 6
「ざわめきのあらわれ/Divided Against Ourselves」
アレグラ・パチェコ(コスタリカ)とアルベルト・ロドリゲス・コジア(グアテマラ)の新作展
会期:2013年7月13日(土)- 7月27日(土)*入場無料
会場:山本現代(〒108-0072 東京都港区白金3-1-15-3F
主催:NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]
共催:バッカーズ・ファンデーション
開館時間:11:00 - 19:00(日月祝は休廊)
レセプション: 7月13日(土)18:00 - 20:00

山本現代ウェブサイト: www.yamamotogendai.org/

企画:堀内 奈穂子(AIT キュレーター)

関連企画:【8/3(土)入場無料のラウンジ・イベント!】
夏のミングリアス「夢の中の古代都市と12,350キロ」和田昌宏とアルベルト・ロドリゲス・コジアの2名のアーティストによる、レジデンス・プログラム滞在報告会!
日時:8月3日(土)18:30-21:30
会場:代官山AITルーム
本プログラムの招聘キュレーターであるジミー・オゴンガ(ナイロビ)も参加します。

*AITのレジデンス・プログラムの公式インスタグラムアカウントが出来ました!(@AIT_AIR)

*アーティスト・インタビューはこちらDownload(PDF / 5.3MB)
聞き手:堀内奈穂子(AIT)、ベン・デイビス






<アーティスト紹介>

アレグラ・パチェコ/Allegra Pacheco(1986年、コスタリカ生まれ、ロンドン在住)

AllegraPacheco ・ 2011 スクール・オブ・ビジュアル・アーツ(ニューヨーク)写真学科卒業
・ 2012 ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツ(ロンドン)修士課程在籍
・ 2010 「White Box」SCOPE Art fair(マイアミ)
・ 2010 「New York Photo Festival」DUMBO BK (ニューヨーク)
・ 2012 個展「Tokyoscapes」ジャスト・アナザー・スペース(東京)
・ 2013 個展「Boobs in Japan」GALLERY MoMo (東京)



コスタリカ出身のパチェコは、主に、写真やドローイング、インスタレーションを制作している。今回の東京滞在は2度目となり、前回の滞在時には、その様子を一連の写真作品「Japan」として制作した。そのシリーズには、映画『ブレードランナー』を思わせる近未来的な建築のほか、飲み屋街、ラブホテル、地下鉄のホームに寝転がる泥酔したサラリーマンの様子など、秩序の中にある雑多な「東京」の様子が写し出されている。コスタリカにおいては、女性たちとの共同制作において、彼女たちの労働環境や社会的な立場を想起させる「Boobs」により、社会の中で不可視になりがちな抑圧構造をユーモラスに浮かび上がらせた。

allegrapacheco_tokyo allegrapacheco_boobs
左:「Untitled」(東京シリーズより/森美術館)/ 2011年  右:「Boobs」/ミクストメディア/ サイズ可変 / 部分 / 2012年

AllegraPacheco_untitles
「Untitled」/ 木、アクリル絵具、墨、油性ペン / 2013年

*パチェコは、東京滞在中に、山本現代での「ざわめきのあらわれ/Divided Against Ourselves」に加え、 以下の展覧会も行います。本展は、パチェコが東京滞在開始後にGALLERY MoMoに訪れたことがきっかけで、開催されるに至りました。この展示では、コスタリカのラ・カルピオ地区の女性たちとの共同作業により制作した、乳房の形をしたソフト・スカルプチャー「Boobs」の日本版を再構成します。ぜひ合わせてご鑑賞ください。
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GALLERY MoMo
アレグラ・パチェコ | Boobs in Japan
2013年7月20日(土) - 8月10日(土)
オープニングレセプション:2013年7月20日(土):18:00 - 20:00
営業時間:11:00 - 19:00(日月祝は休廊)
GALLERY MoMo ウェブサイト






アルベルト・ロドリゲス・コジア/Alberto Rodríguez Collía(1985年グアテマラ生まれ、在住)

AlbertoRodriguezcollia ・ 2007 エスクエラ・デ・アルテ 10(マドリード)にて彫刻を学ぶ
・ 2007 グアテマラ初の彫刻専門工房「Taller Experimental de Grafica」
 を友人と設立
・ 2010 「セントラル・アメリカン・ビエンナーレ」(ニカラグア)
・ 2012 「Estampida」Des.Pacio ギャラリー(コスタリカ)



グアテマラ出身のコジアは、テレビやインターネット、新聞の写真など、既存のメディアからモチーフを引用し、ドローイングや映像作品、版画を制作している。そうした作品の数々は、時に、植民地時代の歴史や、グアテマラの複雑な政治・社会に対する辛辣なアイロニーとして表現される。作品「Weekend(週末)」(2009)では、国を引き裂く発端となったグアテマラ内戦(1960-1996)を題材とし、語られない事実に対するシニカルな視点を一連のペインティングとして発表した。新聞の画像をスキャンし、大仰な色で塗りつぶした政治的な場面は、あえて安っぽく額装され、出来の悪い家族写真のように配置されている。それらは、ゲリラ、和平協定、腐敗した経済、政治、社会状況など、コジアと同世代の若者が巻き込まれてきた権力に対する嘲笑が込められている。

Alberto Rodríguez Collía
「Weekend」シリーズより/ スキャンした新聞、ガラス、額 / サイズ可変 / 2009年

Alberto Rodríguez Collía Alberto Rodríguez Collía
左:「Vegetation」/スーパー8ミリフィルム(デジタル変換)/ サイズ可変 / 2013年 / 3分7秒
右:「No lugar (Non place)」/ アルミニウム版画 / サイズ可変 / 2013年


Alberto Rodríguez Collía Alberto Rodríguez Collía
左右:「Weekend」シリーズより/ スキャンした新聞、ガラス、額 / サイズ可変 / 2009年




バッカーズ・ファンデーションとは:
「バックアップしていく人たち」という意味で、オーナー型経営者が集まり、社会貢献事業を行なう経営者有志の任意団体です。1994年に社団法人日本動物福祉協会を助成することからスタートし、現在は、各団体に支援金を送るだけではなく、実際に会員たちが現場へ足を運び、「明るく楽しく」を合言葉に参加する活動を行っています。現在は、55人の会員が在籍し、そのなかで複数の委員会を作り、メンバー自らが参加型で手作りの活動を行なっています。本プログラムのほか、2005年からは「バッカーズ寺子屋」という子どもたちを対象にした塾の運営も行っています。The BARシリーズでは、これまでに、インド、ブラジル、アフガニスタン、シンガポール、モロッコ、インドネシアなどの国々から、10名のアーティストと5名のキュレーターを招聘し、2012年には、全招聘アーティスト10名による「ホームアゲイン―Japanを体験した10人のアーティスト」展を原美術館(品川)にて開催しました。

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2013-6-19