「ART IN THE OFFICE 2012」受賞者
マネックス証券株式会社主催 アーティスト公募プログラム
ART IN THE OFFICE 2012 第5回受賞アーティスト
福士朋子に決定!
福士朋子作品案「take off/landing」2011-2012年 ホワイトボード、油性マジック、マグネットシート他
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この度、マネックス証券株式会社(以下マネックス)が主催するアーティスト公募プログラム「ART IN THE OFFICE」は、2012年度のアーティストとして、福士朋子を選出しました。開催5年目となる本プログラムは、企業の顔ともいえる、マネックスの新本社オフィスのプレスルームの壁を、新々気鋭のアーティストの発表の場として提供します。毎年、1名(1組)のアーティストを選出し、作品は約一年間展示されます。今年度は106件の応募が寄せられ、アート界およびビジネス界からの5名の審査員による審査が行われました。
福士は、ホワイトボードにマグネットや油性マジックなどのごく一般的な素材を使い、マンガの形式を取り入れた作品を制作しています。福士の作品に特徴的なのは、起承転結といった展開を持たず、私たちが日常生活で思わず口からこぼすつぶやきに焦点をあてているところだといえるでしょう。作品の吹き出しには「着陸よりも、離陸の方が好きです」や、「あの円の内側は、私の外側なんだ」など、両義的な意味を含む言葉が並べられています。複雑で混沌とした現代社会のように、白でも黒でもない、あいまいな心境や立ち位置を表す作品の数々は、私たち一人ひとりの多様な解釈やものの見方を促し、歓迎するかのようです。
受賞作品案「take off/landing」では、グローバルに活躍するマネックスの企業イメージに着想を得て、プレスルームの壁を空港のラウンジに見立て、飛行機や空港にまつわる複数の作品を展示します。なお、福士は、7月中旬にまずプレスルームに一部の作品を展示し、同月にマネックスの社員との交流会を開催します。交流会では自身の作品についてのミニトークを行った後、作品を見ながら社員と会話を重ね、そこで得たアイディアをヒントに作品を制作し、展示を完成させます。完成後、展示は一般の方にも予約制にてご覧いただけます。ご予約方法の詳細は、後日お知らせします。
<福士朋子 プロフィール>
2005年東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻油画修了。風景をモチーフにしたペインティングを経て、現在はホワイトボードにマジック、既製品のマグネットなどを使って、マンガの要素を取り入れた作品を制作。スパイラルが主催する「SICF12」にてグランプリ受賞(2011)。東京都、東京文化発信プロジェクト室、およびAIT主催のストリートペインティング・プロジェクトでは東京芸術劇場の工事仮囲いに作品「見て見て☆見ないで」を展示(2011-2012)。並行してマンガをウェブサイト「少女画帖」で連載中。
<受賞コメント>
私は日常生活の中で頭の隅を一瞬よぎっては忘れてしまうようなことや、つぶやきのような言葉から作品を作っています。今回の応募では、マネックス証券新オフィスのプレスルームに、世界中から様々な人が訪れて最新の情報を交換し、再び次の目的地へと旅立って行く空間をイメージしました。そして人々の行き交う空港と『take off / landing』というテーマが、浮かびました。今回のプロジェクトを通じて、私の作品と、マネックス証券のオフィスと社員の方々、さらに来訪者とのコラボレーションの一年となることを願います。新しいオフィスの出発に、私にとっても新たな挑戦の機会を与えていただいたことに心より感謝しております。
<福士朋子作品画像(ディテールおよびその他参考作品)>
左から:
「着陸と離陸」2012年 120×90cm ホワイトボード、油性マジック
「床の間ーDavid」2010年 26×19cm ホワイトボード、油性マジック、マグネット製品、ホワイトボード消し(参考作品)
「exit」2012年 36×26cm ホワイトボード、油性マジック、マグネットシート
「スペア スペア スペア」2012年 180×90cm ホワイトボード、油性マジック、マグネットシート(参考作品)
審査員の言葉(五十音順・敬称略)
塩見 有子(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ理事長)
漫画かと思ってよくみると、ちょっと違う。なんだか変だ。「着陸よりも」「離陸の方が好きです」とか「自分のスーツケースの場所など」「別にどこでもよいのですが」という誰かのつぶやき、あるいは心の声が聞こえてくる。そうした会話を友人としたことがあるような、でもそのときに自分がどちらを好きと言ったのか、あるいは本当にそんなことを言ったのかもわからなくなるような言葉たち。それに、離陸と着陸というと旅立ちと帰国のようだけど、もしかしたらすべて旅立ちかもしれないし、すべて帰国かもしれず、相反すると思っていた言葉たちが、裏切り始める不思議な感覚。この力の抜け感は、言葉の選び方や、コマとコマの絶妙な離れ具合にも表れていて、なんだか今の時代感にもピンとくる。初めてオフィスを訪れて現代アートを見る人も、毎年、楽しみにしてくれる人たちも、今まで、なんだかよくわからないと思っていた人たちも、「やっぱり離陸でしょー」とか「いやいや、着陸よー」とか話しながら、その先にある作品の奥深さとユーモアにはっとさせられるのではないかと思う。
西川 美穂子(東京都現代美術館学芸員)
最終選考に残ったアーティストのレベルは高く、審査は難しいものでした。どのような基準で選ぶかを考える際、一つは、より多くの人に何かしらのひっかかりがあるような間口の広さを持っていること。もう一つは、仕上がる作品のクオリティーが期待できることを意識しました。受賞作品は、見た目のインパクトとユーモアで惹きつけた上で、見る人に様々な考えるきっかけを与えてくれる点が評価したポイントでした。
開催5 年目にあたる本年の応募者のレベルには、若干のばらつきがあるように感じられました。公募展は年月を経ることで、プログラムが定着していくものだと思います。今後もぜひこの素晴らしいプログラムが継続され、多くの新しい才能が発掘されることを期待します。
藤田 晋(株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長CEO)
松本社長が取材やインタビューを受ける際、背景としてふさわしい作品は何かということを考えて審査をしました。また、社内において際立ちすぎず、働く人に馴染む作品かどうか。その一方で、大胆で斬新な発想のものを求めました。これらの条件が揃うのは難しいのですが、最終的に、みんなが好きになりそうな作品であることが決め手でした。また、マネックスはグローバルな企業なので、マンガという日本文化の要素があることも良いと思いました。
審査会に参加して、理念に一貫性があり、現代アートに親近感の湧くプログラムだと感じました。
松本 大(マネックス証券代表取締役社長CEO)
毎年受賞作品は、私にとって本当に新しい出会いであり驚きです。毎年、最初は強く心に残らなかった作品が、他の審査員の方々が拾い上げ、その魅力を説いて、そして次第に自分も心を惹かれていきます。今回も同じような展開でした。take off は私も好きな言葉です。オフィスの中に新しい物語と刺激がやってくるのが、今から待ち遠しいです。
ART IN THE OFFICEは、新しい作品・作家と出会えるのが毎年の楽しみなのは当然ですが、新しい審査員の方々とお会いするのも実は楽しみのひとつです。今年は山本さん、西川さんという素敵な方々、そしてビジネス界からはサイバーエージェントの藤田さんに参加していただき、また新しい刺激を感じました。変えない部分と変える部分を持ちながら、今後もART IN THE OFFICEを続けていきたいと思います
山本 裕子(山本現代代表)
どの作品案も面白かったのですが、オフィス空間での実現可能性を念頭に、審査を行いました。また、オフィスという場に合うかだけでなく、作品がオフィスを離れたときにも、一つのアートピースとして成立するかという点も重視しました。結果的に、親しみやすく、見る人に考えるきっかけを与える、良い作品が選ばれたと思います。
本プログラムの審査会に参加したことはとても面白かったですし、勉強になりました。どうもありがとうございました。
受賞作品案と審査員一同(左より):塩見(AIT)、西川氏、松本氏、藤田氏、山本氏)
マネックスグループ株式会社について
"MONEYのYを一歩進めてMONEX"
マネックス(MONEX)とは、MONEYのYを一字進めた「一歩先の未来の金融」を意味しています。マネックス証券は、個人のための真の金融インフラを構築し、個人が必要とする最良の金融サービスを提供するという理念の下、1999年4月に松本大がソニー株式会社と共同出資で設立した総合金融オンライン証券会社です。「ART IN THE OFFICE」プログラムは、マネックス証券を通じて、コンテンポラリー・アートのアーティストの作品を知っていただくことを目的として、2008年度より開催しています。
http:www.monexgroup.jp
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2012-4- 6