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メルセデス・ベンツ アート・スコープ 2015-2017

アーティストを決定
● 文化・芸術支援活動「アート・スコープ」の名称を「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」と変更し、新プログラムにて再始動
● 過去の受賞アーティストを招待出品作家として選定し、継続的に支援
● メルセデス・ベンツのブランド活動ともコラボレーション


メルセデス・ベンツ日本株式会社ウェブサイト内のプレスリリースはこちら(PDF)



AITは2003年より、メルセデス・ベンツ日本株式会社の文化・芸術支援活動「アート・スコープ」プログラムの事務局として、アーティスト・イン・レジデンスの運営を始めとする企画協力をして参りました。2004年より、日独のアーティストが互いの国に滞在する交換プログラムを行ってきましたが、本年より、名称を「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」と改め、日独の若手アーティスト1名ずつを選出・支援するだけでなく、過去のアート・スコープ受賞アーティストから1名を招待出品作家として選出し、3名による展覧会を2017年に原美術館にて行うという新プログラムとなりました。
 
このたび、メンヤ・ステヴェンソン氏、泉太郎氏、そして招待出品作家として佐藤時啓氏が、
「メルセデス・ベンツアート・スコープ2015-2017」のアーティストに決定しましたのでお知らせ致します。
 
・ドイツ人アーティスト:メンヤ・ステヴェンソン(2015年 東京に招聘)
・日本人アーティスト:泉太郎(2016年 ドイツ・ベルリンに派遣予定)
・招待出品作家:佐藤時啓(1993年 フランス・モンフランカンへ派遣)



<アーティストの選考について>
ダイムラー社(独)、原美術館、NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]の 3者が、以下を条件に日独アーティストを候補として挙げ、選考会にて協議の上決定しました。また、選考会には江頭 啓輔(三菱ふそうトラック・バス株式会社 特別顧問)、上野金太郎(メルセデス・ベンツ日本株式会社 代表取締役社長)が、オブザーバーとして出席しました。
 

選考条件

1.若手から中堅の、次代の現代美術を担うアーティスト

2.アーティスト・イン・レジデンスという異国での滞在経験を積極的に楽しみ、新たな創作に意欲的である、あるいは能力や資質があること

3.原美術館という空間を生かした実験的な展示が期待できること

 
 

<選考理由>
原美術館副館長/学芸統括 安田篤生氏によるコメント
・メンヤ・ステヴェンソン、泉太郎について

日本作家・ドイツ作家を1名ずつということと、両者が同じ展覧会に出品するということから、作品の面白さと同時に、両者の照応・対比も選考の上での視点となった。共通点としては、メンヤ・ステヴェンソン、泉太郎の両氏とも、映像やミクストメディアのインスタレーションとして展示が作られるということ、また、その内容はパフォーマンス性が高い(自らが映像に登場するなど)ということが挙げられる。両氏のアイデアやコンセプトは社会的日常の中から見つけ出され、結果として紡ぎ出される違和感・おかしみ・いぶかしさ、現実と虚構の境界が曖昧になるような異化効果が作品の味わいとなっている。そして、社会に沈殿する《記憶》《無意識》《習慣》や、明瞭あるいは暗黙の《ルール》《コード》《システム》が露になり、相対化され、問いとして鑑賞者に返ってくるとも言える。

 

・佐藤時啓氏について

今回から、過去の「アート・スコープ」授賞者を1名ずつ、招待出品作家として迎えることになった。その第一弾として佐藤時啓氏が選ばれたのは、「アート・スコープ」以降アーティストとしての活躍が顕著ということもさることながら、その作風は今回の受賞二氏と(展示の第一印象こそ大きく異なるのだが)相通ずる部分も感じられるからである。写真で制作を続ける佐藤氏は、まさにPhotography(直訳:光で描く絵)を実践する作家であり、カメラの前で繰り広げる自らの身体的パフォーマンスを、自らの姿をイメージに残さないかわり、鏡の反射光やライトの光の軌跡によって表現する。方向性に違いは あるものの、アーティストのパフォーマンスが現実に関与し、作品の中で現実を《ずらし》、現実を《写す》というよりも《移す》というところでは、意外と好対照を成すと言えるだろう。

 
 

<受賞者プロフィール>
メンヤ・ステヴェンソン
Menja 1982年ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州ロットヴァイル出身。シュトゥットガルト造形芸術アカデミーで美術とメディアアートを学ぶ。写真・映像・パフォーマンス・インスタレーションなど作品は多彩。シュトゥットガルト在住。
 
 
泉 太郎
IzumiTaro 1976年奈良県出身。多摩美術大学院美術研究科修士課程修了。「ヨコハマトリエンナーレ2011」など、国内外で多数の展覧会に参加。また、原美術館で開催したグループ展「ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」(2009)にも出品。東京都在住。

 
佐藤 時啓
Sato 1957年山形県酒田市出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了。芸術選奨文部科学大臣賞(2015)など、受賞多数。美術館での個展は東京都写真美術館(2014)、アメリカ・シカゴ美術館(2005)など多数。また、原美術館で開催したグループ展《空間・時間・記憶−Photography and Beyond in Japan》(1994、のち北米3カ国に巡回)、《「アート・スコープ」の12年−アーティスト・イン・レジデンスを読み解く》(2003)、《そこにある、時間−ドイツ銀行コレクションの現代写真》(2015)にそれぞれ出品。埼玉県在住。

 

「アート・スコープ」とは?
1991年に始まり、24年間継続しているMBJ及びグループ企業による先駆的な文化・芸術支援活動で、2003年からは原美術館とのパートナーシップにより実施されています。本プログラムは、現代美術の有望な若手アーティストの育成と、国際交流を促進することを目的とした滞在プログラム(アーティスト・イン・レジデンス プログラム)です。日独間でアーティストを相互に派遣・招聘し、異文化での生活体験、創作活動を通じて交流を図ります。これまでに日本人アーティストを21名海外へ派遣、ドイツ人アーティストを9名日本に招聘してきました。また、異国での滞在を終えたアーティストが成果を発表する場として原美術館での展覧会を開催しています。


2015-11-25