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フリエタ・アランダ

1)目的・興味のある分野

今回、私が以前より関わっているアーティスト・ラン・スペース、SOMA(メキシコシティ)を通じて、AITのアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに参加し、約1ヶ月の間、東京に滞在する機会を得た。

今回の滞在では、新しい作品制作のリサーチ以外にも、今後のSOMAとAITの交換レジデンス・プログラムの可能性を探り、実現するという目的があった。

2)滞在期間の活動

滞在中には、京都にある「Social Kitchen」を主宰している須川咲子氏に会いに行く機会があった。そこは、さまざまな人たちが集い、学び、実践する場としてインディペンデントで活動している点でSOMAの哲学と共通していることから、関心を持っていた。また、京都訪問以外にも、長崎の軍艦島と出島を一人で訪れた。私は、廃墟がひとに及ぼす精神的な影響を探るプロジェクトを行っており、その作品を完成させるため、映像と写真による撮影を行った。

さらに東京では、私が参加するグループ展『Money after Money | 信用ゲーム2013』(EYE OF GYLE、原宿)に向けて、キュレーターの四方幸子氏に会い、展覧会や作品について議論を重ねた。私は本展に、「Time/Bank」というプロジェクトを出品した。

3)イベント「THIS IS A GEOGRAPHY LESSON- 新たな文化地理学を考えよう!」について

同じくAITのレジデンスで東京に滞在していたロレアナ・トレードとともに、メキシコと日本の文化や社会について話し合う二日間のワークショップを開催した。

目的の一つは、日本のアーティストやキュレーターと交流を持ち、AITとSOMAの交換レジデンス・プログラムの可能性を探ることだった。彼らとの意見交換の中で出てきた、文化の違いに関する話は、とても興味深いものだった。また、それらは、日本のアート界の構造を理解するために非常に役立った。

二日目は、一般の参加者との交流の場として機能した。ロレアナ・トレードと私は、大人数(約20名分のゲスト)とともにメキシコ料理を作り、ふるまった。こうしたアイディアは、私たちの考えをより身近な方法でいろいろな人と共有したいという思いから生まれた。また、この日、前日に美術関係者や思想家との意見交換を通して私たちが確認し合った「文化的な理解のずれ」をまさに経験した瞬間があった。メキシコ料理の定番の「ワカモレ」を作る準備をするため、ロレアナがスーパーマーケットにコリアンダー(香草)を買いに行ったときのことだ。彼女は、コリアンダーを買ったつもりだったが、ワークショップの途中で、それは三つ葉だったことが判明した。私たちの目には、それは、メキシコで見慣れた食材に見えたのだ。小さなことだが、こうした誤解や思い込みが面白い発見をもたらしてくれた。

4)レジデンスの成果

現在は、日本に滞在した一ヶ月間に集めた映像や写真などの素材から、新作の制作を進める準備をしているところである。次のプロジェクトには、軍艦島で撮影した映像と写真を使う予定である。



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